2025年03月16日

四度目の転職 FIRE の可能性

昨年 GW 直前からの激動の記録。

7月後半から9月後半にかけては非常に調子悪く、どこに応募しても面接まで進める気がしなくなってきた。
元々の早期退職制度の退職日が 8月末だったのを、会社側の希望で 2か月延長したのだが、こんな形で9月からの無職状態を避けられることになるとは思ってなかった。
ただ、この先もずっとこんな状況が続くのだとしたら、他の選択肢も考えないといけないと思い始めていた。

(今日の記事で貯蓄や支出の仮定の金額を並べるが、あくまでも「仮定」で計算をわかりやすくするためのものであり、我が家の財政事情を表したものではないことをお断りしておきます。)


まず考えたのは、そもそも再就職しなければならないのか。
最近よく聞く、"FIRE" の可能性を考え始める。

先日の記事でこの言葉を書いた際、意外と知られていないというのを感じたが、数年前から欧米を起点にわりと盛り上がっていたワードだと個人的には思っていて、実際、FIRE をキーワードに Amazon や YouTube で検索していただくと、けっこうな数のコンテンツがヒットする。
改めて説明すると、"FIRE" とは、
Financial
Independence
Retire
Early
の頭文字をとったもので、経済的自立と早期退職を意味する言葉。

経済的自立についてはその言葉の通り、要は死ぬまでの食い扶持を確保できているかどうかであり、多くの方が普通に思い浮かべるとすれば、安心して生活できるだけの余裕ある資産を確保する(つまりそれくらい貯蓄する)というのだろうが、実際にこれが1億円なのかそれ以上なのかわからないが、極めてハードルが高い。
世間一般的に言われている "FIRE" は、そこまでの貯蓄をしなくても、資産運用してその運用益収入による不労所得で生活すること。
これなら目標とする資産額はいくらか少なくなるし、期待通りの運用ができれば退職後の資産の目減りもない(ここがけっこう重要なポイント)ので安心感も高い。
もちろん資産運用は目論んだ利益を下回る可能性もあるので、未来永劫安泰かというと、いくらかのリスクはある。
ただ、死ぬまで安心できる貯蓄ができたとしてそれを切り崩して老後を送るとしても、インフレが進めば手元資金の相対的価値は下がるので(これもけっこう重要なポイント)、個人的には貯蓄だけだに頼るのは、それはそれでリスクが低いわけではない(むしろリスクは高い)と思っている。

では、"FIRE" に踏み切るためにいくら貯める必要があるかというと、一般的に言われているのは、「年間支出の25倍」を確保して運用すれば、インフレを考慮しても資産が枯渇する可能性は極めて低い、とのこと。
その根拠はというと、株式の年平均成長率を一般的な数字よりもいくらか低めに見積もって 7% とし、そこから平均物価上昇率(こっちはいくらか高め)を 3% と見積もって引き算した 4% という数字があり、資産の 4% 以内に年間支出を抑えることができれば、資産を減らすことなく運用益で生活することができる。
年間支出が 200万円の家庭であれば 5000万円、400万円の家庭であれば 1億円あれば、ということになる。
だが、さすがにこれも我が家では現実からは程遠い。

そこで次なる策で出てくるのは、"サイド FIRE" とか "ゆる FIRE" とか言われている手段というか生活。
今までみたいながむしゃらに馬車馬のようなサラリーマン生活を続けるのではなく、収入は下がろうとも、今よりは余裕のある時間を確保できるような仕事に就いてのんびり働きながら、FIRE 実現に足りない分を補うという考え方。
例えば、運用資産が 2500万円で年間支出が 300万円であれば、資産の 4%は 100万円となり、足りない 200万円を仕事で稼げば、資産の目減りはないということ。
もちろんこれも不確定要素はあるが、少なくとも生活コストの高い首都圏から離れれば、いくらか可能性はありそうな気もしてくる。
一番の不確定要素は、「収入はほどほどだけど、リラックスして続けられる」ような仕事が、そんな都合よくあるかどうか。
現実として、200万円稼げて、楽でのんびりできる仕事はそうそうない気がするし。
結局は仕事さがしが重要なことに変わりはなく、それまでと同じような転職の苦労は続きそうな気もするが...

ただ、そういう選択肢を自分の中に作っておくだけで、追い詰められている転職活動の状況に対して、いくらか気持ちの余裕ができた。


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ちなみに、一日でも早く FIRE 達成するために若いうちからがむしゃらに働いて、30代とか 40代前半で実現した人が、その後の生活がうまくいかず後悔する、という話も少なくないと聞く。
社会から離れてしまって孤独感にさいなまれたりするというのが最も多いらしいが、その他にありがちなのが、FIRE 実現の元手を貯めるためにせっせと節約、つまり年間支出を極限まで抑えた生活を基準に FIRE 達成のゴールを置いてしまって、その後もそういう禁欲的なほどの節約した生活を続けなければ資産を取り崩すことになるので、けっきょくまた働く、とか。
FIRE 後の生活設計もセットで考えておかないと、いいことばかりではない。
posted by YAP at 13:17| Comment(12) | 転職 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
FIREは知らなかったです(苦笑)
資産運用には全く自信がないので、知っていたとしても、
しようとは思わなかったと思います。
Posted by kuwachan at 2025年03月16日 18:15
以前にこのFIREのキーワードが出てきたとき、ドイツであまり聞かないなあって思いましたが、つい先日、30代前半の同僚がそれに当たるドイツ語を口にして、最近それに興味があって資産運用の勉強を始めたんです、と言ったので、食いついてちょっとおしゃべりしました♪
彼の場合は、一人暮らしの母親が家を売ってできた資産を母親の代わりに運用する形で勉強しているという、凄く恵まれたお話でしたけど。

長くなりますが、うちのドイツ人を見ていると、このFIREと正反対の生き方をしているなあと感じます。
彼は若いときから、好きなことを必要な分だけ働く、というような生き方をして来て、だから年金はミニマムでそれだけでは余裕が全くありませんが、今までの人生がとても豊かだったのです。すでに世界中であれこれ見て楽しみつくしてて、やり残したことなど無いという感じです。だから、(早期)リタイアしてやっと自由になってこれから好きなことをしましょう、ではなく、常に自由に好きなことをしてきました。今は、もう別にどこにも行かなくてもいい、今の世界はもう面白くないし、と言っているほどです。
今働いている分も、まだ動ける今の生活を楽しむためにある、という感じでしょうか。病気になっても治療費や入院費が健康保険で賄われるドイツならではのことかもしれませんが。
Posted by めぎ at 2025年03月16日 20:53
>kuwachanさん、めぎさん、コメントありがとうございます。

>kuwachanさん、
私もずっとローリスクローリターンでいいので、預貯金で貯めていけばいいとずっと思っていました。
ですが、いつまでも上がらない日本の賃金水準やこの先のインフレリスク、海外との為替を考えると、貯蓄はハイリスクノーリターンだと考えが変わってきました。

>めぎさん、
ドイツ人さんはこれまで理想的な人生を送られてきたんですね。
人生の中でやりたいときにやりたいことをというのは、それは素晴らしいことです。
最初から FIRE 目指して極限まで切り詰めながら金を稼ぐことだけを追求する生活は、それはほんとに人生の目的とすべき価値あることなのかという疑問も、当然多く聞かれます。
私もそういう生活は、目的と手段を混同してしまっているなと思います。
Posted by YAP at 2025年03月17日 06:41
FIREという言葉は知らなかったです。
年間支出、うちはいくらなんだろう?
まったく知らない^^;
わたし個人のお小遣いは月1万円だけど、それとは別に
普通に食料品やら生活雑貨はいろいろ買い物してて、それにいくら使っているのか把握してないのはマズイですね。
Posted by リュカ at 2025年03月17日 15:08
転職時には、自分・家族の残されたライフプランニングを考えざるを得ないですね。当時のお立場は十分お察しいたします。
YAPさんのようにいろんな選択肢、可能性を想定しておくことは大事だと思います。私もそうでしたから。幸いにも、40代半ばでライフプランのレクチャレーを受講し、老後を含む終始をシュミレーションしていました。住宅ローンはその時点で完済していたので負債もなく、この点に関してはそれほどの不安はありませんでした。
余談ですが、このようなことは義務教育で国も教えるべきと思います。やはり年金受給までは仕事を見つけて働いて稼ぐしかないですね。結局は自分に跳ね返ってくることです。
Posted by jetstream at 2025年03月18日 00:03
>リュカさん、jetstreamさん、コメントありがとうございます。

>リュカさん、
家賃や住宅ローン返済、NHK や自動車・バイクの税金関係等の完全固定費から、光熱費等の半固定費、食費やレジャーとかの変動がある費用、いろいろあるので毎月の収支を見ているだけのような単純な計算ではないので難しいですよね。
けど、ある程度の年間コストを理解しておくのは重要だと思います。

>jetstreamさん、
仰る通り、義務教育のうちに金融リテラシ教育というのはやるべきだと思います。
日本では投資はギャンブルみたいなものという考え方がずっと蔓延していて、私もそう思っていました。
前の会社に入社したとき、確定拠出年金の振り分けを少し攻めたものにしたことで、長期積み立てがどういうものかわかってきたと同時に、もっと若いうちから投資信託を始めておくべきだったと思いました。
私の年齢だと、年金を当てにした老後にすると破綻をするリスクが極めて高いので、自分で老後資金をどうにかするしかありません。
Posted by YAP at 2025年03月18日 06:51
私たちも、今後どのようにしていくかを、よく話し合うようになりました。資産運用、上手くできると良いのですが、難しいです。やはり知識は、必要ですね~。
Posted by おと at 2025年03月18日 07:11
>おとさん、コメントありがとうございます。
私も投資知識ゼロからスタートして、まずは初心者向けの本数冊と、あとは何人かの YouTube 投資系経済アナリストの人たちのチャンネルを見て勉強しました。
これがですね、そろいもそろって、どれも結論はほぼ同じなんですよ。
私はそういう立場ではないので具体的な銘柄は書きませんが、どの人も初心者が手堅く始めるには投資信託でこれを買って、後は慌てず騒がず10年くらい放っておけばいい、というものでした。
私も基本はこの線でやっていて、順調です。
今年に入って新NISA も始めましたが、今はわりとトランプ効果(?)で落ちているのが多いので、逆に始めどきだと思います。
Posted by YAP at 2025年03月18日 21:11
何かと不安になります。おそらくこっちでの年金受給年齢までは今の地から引っ越すことはないだろうけれど、日本に家も無いし、電化製品も1から揃えないといけないだろうし・・・まずはどこの都道府県に住むか考えないと^^;。それによって老後にかかる費用も変わってくるかと思うと悩みます。
Posted by Inatimy at 2025年03月19日 05:59
>Inatimyさん、コメントありがとうございます。
この先日本の高齢化社会はますます厳しいものになるので、いろいろ不安ですよね。
Inatimyさんは、おそらく私と同年代だと思いますが、もうさほどの年金は当てにできない世代だと思います。
少し前に、老後資金は 2000万円必要というワードが聞かれましたが、それくらいだとかなり困窮した生活になると思います。
私も老後は今の地を離れて福岡辺りに住むと思います。
生活コストがかなり抑えられ、かつ、それなりの街で年とってからの生活の利便性も良さそうなので。
Posted by YAP at 2025年03月19日 06:20
私もFIREというのを知りませんでした。

これからのこと、色々考えなきゃいけない年齢だということですかね?
Posted by sheri at 2025年03月19日 10:39
>sheriさん、コメントありがとうございます。
そうですね、私も50代半ばですので、定年になってからの食い扶持をどうするか、考えてます。
昨今のインフレと海外との賃金水準の差を見て、預貯金がハイリスク・ノーリターンと思うようになってきたので、今はある程度の貯蓄は残しながら、少しずつ新NISA へ移していってます。
Posted by YAP at 2025年03月20日 10:23
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